ごあいさつ
~「蔵と文化の町 須坂」をめざして〜
響の会 会長 小林雅彦
「響の会」は、日常生活の中に文化芸術が溢れる須坂市になることを夢見る市民有志により、2024年に立ち上げた会です。先人の思いを今につなげ、「蔵と文化の町 須坂」をめざして活動を始めました。
明治・大正から昭和の初めにかけて、須坂は「製糸の町 須坂」としての創成期を迎え、大きな賑わいを呈しておりました。製糸工場の煙突は60本を超え、工女6000人余りをかかえる活気溢れる日常がありました。その中にあって、文化芸術を愛でる気風も盛んであり、音楽・美術・伝統芸能等、多くのジャンル間の交流も含めて、活発な活動が行われていました。中でも大正12年に発表された中山晋平作曲による「須坂小唄」は、地方発の新民謡第一号となり、全国で歌われるまでになりました。
その後、製糸業が衰退した後も、文化芸術を愛する気風は消えず、それぞれのジャンルで脈々と受け継がれてきました。例えば音楽では、山田耕筰作曲による「須坂市民歌」、藤山一郎作曲による「須坂音頭」など、巨匠たちによる味わい深いメロディーに包まれる町になりました。(詳細はぜひ、『清水弥平物語』をご覧ください)
時は巡り、2024年、須坂市は「製糸町・商家町」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。これは、美しい蔵の町並みを後世に残そうとした先人たちの美意識に支えられた取組の大きな成果であるといえるでしょう。
今、須坂市は、様々な意味で大きな変革期を迎えようとしております。私たち「響の会(市民有志)」は、この時期に、創成期からの文化芸術を尊ぶ気風に学び、新しいものを創り出したり人の心に直接訴えたりできる文化芸術の力が、市のさらなる活気や発展に向けての大きな鍵となるのではないかと考えました。その思いから、今年11月1日から3日まで、重伝建地区の建物の一部もお借りして、音楽・絵画・陶芸・舞踊・紙芝居・ワークショップ等々、文化芸術のイベント「須坂芸術祭HIBIKI」(フライヤー参照)を企画いたしました。なお、企画に際しては、出演してくださる皆様や協賛してくださる皆様の多大なご支援をいただいておりますことも、私たちの大きな励みとなっております。
市内外からお越しいただくご来場の皆様方には、須坂の先人が残してくれた力強く豊かな息吹の漂う建物の中で、歴史・音楽・アートに触れる体験を通して、ご自分の内に秘められた美を求める心との対話の時間を作っていただけたら幸いです。
2025年7月